第1章

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そうだろうっと言う麻斗に、 ひばりはこくんっと首を縦に振った。 そんなひばりの態度が面白かったのか、 麻斗は声をだして笑いながらひばりを上から下まで眺めた。 そして。 『──俺、 南麻斗ってんだ。 お前は?』 『の、 野上ひばりです』 まさか自己紹介をされるとは思わなかったので、 慌てて名乗る。 そして、 南麻斗という名前を絶対に忘れないように胸に刻む。 大学に入って良かったと、 この時ほど思ったことは無かった。 麻斗は相変わらず、 優しい笑みを浮かべてひばりを見下ろしている。 そして。 『ひばり、 か。 可愛い名前だな。 ──ま、 これも何かの縁だろ。 これから仲良くしようぜ。 ひばりちゃん』 『っ、 ちゃんづけは止めてください!』 ぽんっと、 ひばりは麻斗に頭を撫でられた。
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