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  そう?、と貴子は笑って、壮真のスケッチを手にする。 「・・・私は、壮真の絵、好きだけどなぁ・・・」 慰めはイラナイとばかりに石ころを蹴る壮真。 そんな壮真に笑って、貴子は色鉛筆を取り出し 壮真の書いた線をはみ出す感じで ぼんやりと、薄く色を付ける。 興味を引かれた壮真がそれを覗き込み、目を輝かせる。 「すごいや・・・、すごいっ!!!」 ね?、と貴子が微笑むと うんっ、と壮真は自分のスケッチを掲げて、駆け出す。 その様子を見ていた芽衣も 私も、私も、と貴子に絵を差し出した。 いいよ、とそれにも色をつけてやる。 駆け回って喜ぶ二人を眺めて、貴子は微笑んだ。
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