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と、その時だった。
不意にロゼ様の顔が苦痛に歪まれたかと思うと、苦しそうに咳き込まれるロゼ様に慌てる。
ふらりと傾いた華奢な身体を咄嗟に腕で受け止め支える。
私に気を遣わせないために、無理に抑えているのだろう。僅かだが、荒い息遣いを感じた。
「大丈夫ですか!?すぐに侍女に話をして医師を呼びます。……ご無礼をお許しください」
ロゼ様を丁寧に横抱きに抱える。ドレスに身を包まれた華奢な身体は、全く重みを感じない。
私がほんの僅かでも力を込めれば折れてしまいそうな、そんな錯覚を起こしてしまいそうなほどに頼りない。
白い肌は、見ているこっちが痛ましくなるのほどに青ざめていた。部屋の寝台へと運んで、身体に響かないよう慎重に寝かせる。
すると、苦しげに開かれた瞳が悲しい色をして私を見ると、胸が締めつけられるようなか細い声でごめんなさいと謝られた。
「いつもの……発作なの……すぐに治まるから、誰も呼ばないで……お願い……っ、お兄様に心配させたくない……」
苦痛に耐えながら息絶え絶えに話される姿が、脳裏に蘇った昔の自分の姿と重なる。胸が締めつけられた。
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