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唾を飲む音が聞こえた。自分のだが、少し遠くから聞こえる。
SIGを握る右手に、汗が籠っている…
パァン!
牽制に一発撃った。SIGから放たれた弾丸は、後続の犬の肩に当たった。プラモデルのパーツをもぎ取るように犬の腕が取れた。腕の取れた犬が、短く吠えて転げた。しかし、それが引き金となって、他の犬達がよだれと内臓を垂らしながら、俺に向かって走ってくる。
「くそっ…!」
3体の犬に弾が当たり、そのまま動かなくなった。しかし、足や眉間に照準線を合わせようとするが、奴らは並ではないほど速い。走り始めてから4、5秒で残りの五体は俺の周りを取り囲んだ。
間合いは5、6mと言ったところだろうか。予想外の敵の攻撃力に怯えたのか、犬はすぐに飛びかかろうとはしなかった。
俺は次の攻撃に備えてSIGのマガジンを交換した。
膠着状態が続いていた。
先に動いたのは犬だった。左にいた一匹が飛び込んで来た。左にSIGを向けようとした時、突然その犬が横に吹き飛んだ。
「!!」
他の犬達が、横に飛んだ犬に目をやった。同時に、もう一匹も吹き飛んだ。
いつの間にか、周りの犬が全て吹き飛んで、倒れたまま動かなくなっていた。
「…額を撃ち抜かれている…」
倒れた犬は、額に貫通痕があった。
もしかして…銃?
でも、銃声は聞こえなかった…
「とにかく、戻ろう…」
俺は怖くなって、校舎に戻った。。
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