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じゃあ行こう。」
兄は、椅子から外した鉄パイプを片手に、慎重に扉を開けた。廊下にゾンビがいないことを確認し、俺に向かって行け、とジェスチャーを出した。
俺はポケットにさしていたSIG拳銃を抜いた。
「脱出しようね、絶対。」
「もちろん。絶対だ。」
理科室の扉を開け、俺も廊下を確認した。今はゾンビの姿は見えない。
「先に行くからついてきて。」
「…あ、あそこに人影が…」
「えっ、どこに?」
「あそこだよ。ゾンビだったとしてもすぐ帰ってくるから、大丈夫。先に行ってて。」
「大丈夫なの?」心配など聞こえぬかのように、兄は奥に入ってしまった。
「…一緒に行くって言ったのに。」
この時はすぐに会えると思っていた…それが間違いだったと気づいたのは、このもっと後だった。
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