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地図を見ながら、考えをまとめる。まずは登山口への道の安全を調べなければならない。
地図を確認した後、俺はSIGをローレディに構えた。
歩き始める。しっかりと、しかし少し哀しみの表れている歩調で…
嘉瓜通り、と言う信号の標識が、傾いた電柱に外れかけながらばたばたと動いていた。
熱気のような風は、燃えさかる家屋から吹くものだった。雪が溶けた水たまりも、蒸発しつつある。
俺は、半壊した家からナップサックと手ぬぐい、缶詰と缶切りを借用した。
ガスを充満させて火をつけ、自殺したのであろうか…消し炭のような焼死体が3体あった。半壊したのも、それが原因だろう。
「…みんなは、こんな風に自殺したりしてしまうのかな…」
炭化した小さい子供の死体を見ながら呟いた。
「…絶対…ならないでくれ!生き延びて…また、会いたいから!」
片膝をついていた俺の体が震えた。立ち上がって、顔に手ぬぐいを巻きつけた。持ちきれないものはナップサックにつめた。
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