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「大丈夫?」
震えていた彼女の肩をつかみ、話しかけた。
「あ…あ…」
彼女はゾンビの危機が去ったのを知ってか知らずか、まだ怯えていた。しばらく焦点が決まらないままだったが、
「…は…私は…大丈夫…あの、失礼ですが、誰ですか?」
数秒経つと、さすがに正気が戻ってきたようで、話しかけてきた。
「同じクラスの直次。どうしてこんなところに?」俺は煙を吸うのを抑えるために巻いた手ぬぐいをほどいた。
「手拭いを巻いてたからわからなかったんです。すいません。」
「いいよいいよ。」
「は、はい…一旦クラスのみんながバラバラになった後、学校に一番近い私の家に何人かが集まりました。他にも生き残りがいると思って、探索に行くことになったのですが、逃げているうちにはぐれてしまったんです…それで、ここが行き止まりになってて…」なるほど、後ろの道は火がついたガレキで塞がれている。
「誰が集まっているの?」
「中井君と大原君、花園さんと私。誰か居なくなったら一旦家に集まるようにしてるから、多分みんな帰ってきてると思うわ。」
「そうか。…もう心配しなくてもいい。」夜子の手を、俺は優しくにぎった。彼女は微笑を返し、立ち上がって膝の砂をはたいた。
「その家に一旦避難しよう。武器はこれだけだし。」
SIGを見せた。確かに、と夜子は頷く。
「奴らに対処できるものを探すことからだ。」
「大丈夫なの?」夜子が聞いた。
「うん。きっと脱出できるよ。」
そう返してから、SIGをマグチェンジした。
「夜子さん、案内してくれ。僕が守る。」
「あら、頼もしいのね。」
「な、なんだって?!」
夜子はクスクスと笑った。
でも、これだけならば行動に支障は出まい。俺は内心で安心していた。
「直次じゃねえか!」夜子の家に着き、居間の中に入ると、柔道部でクラスメートの頼人がこっちに寄ってきた。
「よかった。やられちゃったらどうしようかと思ってたんだ。」横から来た軽仁も、ほっと胸をなで下ろしていた。。
「でも、兄貴は…」
「え?直兄さんがどうしたって?」
「ううん、何でもない。」俺は薄ら笑いで返した。
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