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「とりあえずは、ここにこもっておくのがいいんじゃないかな?」
「馬鹿野郎!」軽仁の提案に、頼人がすぐに突っ込んだ。
「ここに火が移ったらどうすんだよ!えぇ?」
怒ったような口調はどんどんエスカレートしている。
「じゃあどうすればいいのさ。」
「それを考えるんだっての!すぐに街を逃げ出すとか、逆にゾンビたちを全員殺すとかあるだろ!」
「落ち着いて、頼人さん。」
花園がたしなめたが、少しも彼の口調は変わらない。
「ああもう!どいつもこいつも!」
そして、とうとう立ち上がって、居間から出て行った。
「ま、待ってよ。」軽仁もそれについて出て行った。
「…みんな混乱しているわ。」夜子は呟いた。
「頼人は何か落ち着いてないようだしね…僕だって、母さん、死んじゃったし…」
俺も、寝転んだままつぶやいた。ナップサックは壁に立てかけてある。
「ねえ、その拳銃はどこから?」
「先生が死んだときに、校庭にいた警察の人たちから。死んでたけどね…」
「それだわ!」花園が言った。
「武器を拾って、逃げ出しましょ!」
「ちょっと待ってよ。確かにそれはいいけど、あいつらを探してからにしよう。」
「でも…」
「まさか、見殺しにする気じゃあないよね?」
「…だって…一人でも生き残る方がいいから…」
「なんだって!」俺は、信じられないという風に壁を叩きながらどなった。
「僕は…もう一人で行く!逃げ出したいんだったら勝手に逃げろ!」
俺はナップサックとSIGをひったくって、家から出て行った。
「直次くん…」夜子が、心配そうにつぶやいたのが聞こえた。
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