別れの5、集いの6

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これで注油は済んだ。細かく言うと、銃身、薬室以外は油をさし、銃身は眼鏡フキの端をちぎった物を薬室から鉛筆で押して、銃身の汚れを落とした。ティッシュでは傷が付くそうだ。 SIGのスプリングが、抑えが足らずに跳んだ。 「あっ!」 「ドジだなあ。ここを抑えりゃいいだろうが。」 頼人が突っ込み、軽仁が笑った。俺も、いつの間にか笑みを漏らしていたのに気づいた。 「頼人君たち?」上から降りてきた花園が声をかけた。 「エマージェンシーブランケットが防災袋に何枚かあったわ。毛布の代わりに使って。」 エマージェンシーブランケットは薄い銀色のシートで、毛布の一時的な代用品となる。使い捨てで、毛布数枚分の断熱効果があるそうだ。 「ありがとう。」油差しも終わって、スライドを数回すり合わせた。ストッパーを元に戻しながら、俺は畳まれたブランケットを受け取った。 「じゃ、おやすみなさい。明日は6時から出発ね。」 彼女が戻って行ってから、3人はそれぞれのシートを被った。 「…寒くなってきたな。寝るか。」 「そうだね…ふぁぁぁ…。」 「武器は他にないの?」俺は軽仁に聞いた。軽仁の両親が経営している猟銃店には、確か他にも銃があった気がするが… 「うん。展示してたこの銃だけ。あとは鍵がかかってる銃器庫にあるから。」 「そうか…ありがとうな。じゃあ明日、脱出しよう。」 「うん。頑張ろう。」 「おやすみ。」 「おやすみ。」 短い挨拶を交わしたあと、俺たちはブランケットを被って、電気を消した。
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