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「君たちが生き残りだね。さあ、ヘリに乗って!」警察の人が、数十人はいるだろう俺たち被災者に声をかけた。
「直一兄ちゃーん!」座り込む彼らの間をぬって、兄を探す。しかしどこにも見当たらない。特徴のある髪型で、すぐに分かるはずだが…
「ウワア…」
後ろの方から、呻き声が聞こえる。振り向くと、被災者たちが立ち上がり…血眼が具現化したかのような目を向け…
「…はっ」浅い眠りから覚めた俺は静かに体を起こした。午前5時半頃のことだ。シャワシャワと、ブランケットが音を立てた。
(兄貴に会いたい…)
気がつくと、俺は自分のナップサックとSIGを持ち出して、玄関の前に立っていた。
「…学校をもう一度探索しよう…」
「直次…行くのか?」
振り返ると、軽仁がショットガンを持って立っていた。
「…ああ、兄貴が心配で…」
「…そうか、やっぱり兄弟ってものなのかな。分かった。伝えておく。SOSは学校でだから、あとで合流しよう。あと、お前が持ってた地図を貸してくれ。みんなで他の脱出路を考えとく。」
「そうか…」俺は少し笑顔を作ると、軽仁に地図を渡して靴を履いた。
「ショットガンとマグライトだ。持って行ってくれ。」
持っていたサンシンと、家から持ち出してきたというマグライトを、軽仁は俺に差し出した。
「…ありがとう。でも、そっちの銃は無いんじゃないのか?」
「校庭の警官隊の死体からなら、拳銃ぐらい見つかると思う。」
「じゃあ、俺はこれを。」彼に渡したのは発煙筒の束。SOSを送るときに使う事にしているものだ。
「ありがとう。昼あたりには合流だ。こっちだって心配だ。」
「ああ。じゃあ。みんなに校内を探すと伝えてくれ。できる限りそうする。」
そう言って俺は玄関を出て行った。
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