5人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
俺は、倉庫の瓦礫の前に立っていた。
「…これは…?」
それを見つつ、ふと、昨日の地震と地割れを思い出す。
あの時の振動で、灯油缶が倒れたりしたのだろうか…巻き込まれたりしたらと思うと、ゾッとした。いや、もしかして…
「まさか…兄貴?」
兄がゾンビ達を殲滅するためにしたことだろうか…それとも…自殺…
膝に付いた小さい瓦礫を、否定したい考えとともに払い落とすと、のび太は校舎を見上げた。
「…行くか!」
手拭いを鉢巻のように頭に巻き、サンシンを構えた。
昨日の、吹き飛んだ犬の死体を横目に、生徒用玄関から中に入った。まずは職員室…誰も消すこともなく虚しくつく電灯によって、何体かの、先生であったゾンビが映し出される。
サンシンのリロードタイムが鬱陶しく感じる。ゾンビが鉛玉のシャワーに倒れる。
血まみれの床が広がる中、立ち尽くすのは俺1人。
職員室にある鍵を取ろうとしたが、鍵付きロッカーの中に入っていて、取ることができない。
後ろで、何かが振り下ろされる音が聞こえた。のび太は体ごと横に跳んで避ける。
振り下ろされた物は、先の尖ったハサミだった。それを持った校務員さん…のゾンビには、左腕が無かった。もしかしたら、担任がそうであったように、生き返ったのだろうか。
さっきのサイドステップでよろけ、尻餅をついた。しかし、襲い掛かられるよりもSIGを構える方が早かった。
至近離から9mm弾を撃ち込まれたゾンビは、血しぶきと脳味噌をバックブラストのごとく撒き散らし、倒れた。
先ほどのハサミが、鍵入れの蝶番に刺さっていた。ガタガタと揺らすと、扉ごとハサミが取れた。
ロッカーの中を覗くと、一つだけあるタグ付きの鍵の横に、差し込み式のカードスロットがあった。
「カードスロット?」
何かを差し込むのだろうか。しかし、試すようなカードを持ち合わせていない。仕方なく、俺は鍵だけをとった。タグには、『Level 1用マスターキー』と書いてあった。
最初のコメントを投稿しよう!