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「クソ!きりが無い!」
俺がサンシンを腰だめで撃つと、胸から上をズタズタにされたゾンビは、糸が切れた操り人形のように倒れ込んだ。
しかし、まだ何体かゾンビが残っている。取り囲まれるようになっていて、隙を与えてくれない。
ここは北校舎2階の廊下。一階から上がる階段から少し離れた所で、ゾンビたちに囲まれてしまった。階層が低いからか、教師や市民のゾンビ達が上がってきていたようだ。
SIGでバックアップしながら、ポケットに入れていた12番ゲージのショットシェルを探り当てた。片手で銃を折って、シェルを装填する。
もどかしく薬室にシェルを突っ込んだ後、銃身を元に戻し、すぐさま1体の頭を狙って引き金を引く。コンマ一秒とたたず、頭が風船のように弾けた。残り3体に持ち込み、隙ができた。包囲の輪から逃れ、少し離れた位置から、3体に向けてもう一発の散弾を撒き散らす。
そのままのび太は走って階段を上り、3階のフロアに入った。先程の3体が追いかけてくることも考慮して、すぐさま3階の探索を開始。3階には、3年の教室がある。その他にも、コンピューター室などがある。
一部屋一部屋、素早くかつ慎重に見ていく。中には、舟木の死体が転がっている自分たちの教室のような部屋もあった。
兄貴…何処にいるんだ…?
そう思いつつ 、5年2組の教室の扉を開けた。
「…ああ」
俺は、吐息のように声を漏らした。
室内にある崩れたバリケードと、その向こうに見える、血だまり。
バリケードをまたぐと、その正体が明らかになった。
警官だ。そう、校庭で見た警官の残りが、意外と近くにいたのだ。
中には市民…いや、そのゾンビも混じっている。担任であった我成も、脳の一部を撒き散らした死体として横たわっていた。
ここで食い止められなかったのか…
そう感傷に浸る俺の後ろで、死体が脈動を始めていた。
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