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俺と須二夫は、片方はMEUを向けたまま、もう片方は腰を落とした構えをしたまま対峙した。
数秒を数えた後、俺はMEUの銃口を小さい手のさばきではじいた。あまった右手を、須二夫のチョッキの襟に伸ばす。しかし、相手の方はバク転によって避け、そのまま両脚を顎に振り上げた。
バックステップによってすんでのところで避けたが、よろけてしまった。立て直す間に、須二夫が曲がり角に逃げる。すかさず俺もそれを追う。
だが、壁から覗き見ると、待ち構えていたのかMEUを連射してきた。
彼はMEUにレーザーサイトを装着しているようだ。壁にレーザーが光って眩しい。
連射がおさまった。すかさずSIGを構えて飛び出すと、3連射を須二夫に浴びせた。彼の腹部に2発があたった。
「やるな!」
須二夫は少し怯んだが、左手で腹を押さえたまま奥に走って行った。
どうやら奴は防弾チョッキを着ているようだ。俺はまた、彼が曲がって行った角に走った。壁にレーザーが光っている…
カランッ!
何かが近くに転がっていた。空き缶…?
しかし、その近くにレバーが落ちているのを見た途端、反射で目を閉じた。
パァン
閃光手榴弾だった。閉じても隙間から入ってくる閃光に、視界がホワイトアウトした。耳鳴りに被さり須二夫の声が聞こえた。
「バカめ!その程度か?」
視力が戻った後で奥を見たが、彼はいなかった。
ダンダンダン!
「うぐっ」
左腕に、MEUの45ACP弾が突き刺さっていた。血が吹き出した。
「後ろだ!」
須二夫が、後ろから叫んだ。痛みをこらえて、俺はすぐさま後ろにSIGを連射した。
「ガハッ!」
弾が当たると同時に、彼の腹から鈍い音がした。衝撃で肋骨を折ったのだろうか。
「クズのくせに…」
そう言って、須二夫はMEUをホルスターに戻し、背中のG3小銃に手を伸ばした。俺は振り返った状態のまま、すぐに角に隠れる。
フルオートで、怒涛の銃声が響いた。アルミの壁を突き抜けた数発が、すぐ横を通り過ぎた。
「くそ!」
連射が止まったと思いきや、すぐにまた、さっきの手榴弾が転がってきた。
「引っかからないぞ!」俺は転がってきたそれを拾って投げ返した。
またもや破裂音が響く。覗くと、須二夫が目を塞いでうめいているのが見えた。
今っ!
俺は右手のSIGに、赤くなった左手を添えた。反動が感じられる。
撃った40口径弾は、出来杉の側頭部を貫いた。
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