第1章「出会い」

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「こうたさんはこうたさんらしく生きて下さい。見栄を張る必要は無いと思います。私はそう思います」 彼女を好きになって良かったと心から思った瞬間だった 人間界関係には疎い僕でもそれがどういう意味を持っているのか理解出来たと思う 「ありがとうございます!」 感謝の意を伝える事しかできなかった 本当はもっと嬉しさを伝えたい きっと経験豊富な人だったらもっと上手な返し方が出来た そもそもここまでややこしくならなかっただろう 自分の不甲斐なさを改めて実感した 再び着信音が鳴る 彼女だった 「とんでもございません。それで、映画を観に行くというお話は…」 きっと彼女も混乱しているはず 仕方がない… しかし僕は確かに感じた 彼女の優しさを 僕はそれに今一度賭けてみようと決心した 「これまでの態度、大変失礼しました…。もし僕の服装などが気にならない様でしたらもう一度お誘いしてもよろしいでしょうか…?」 今思い返すとどうにも恥ずかしい内容でしかない 今の僕も大して変わらないが、ここまで酷かったのかと赤面せざるを得ない(笑)
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