黒が似合う君が白に憧れる

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それは、いつも、何の予告もなく訪れた。 私を怯えさせる悲鳴と流水。 また、か。 私の中の人がそっと目を瞑り、何事もなく進む。 苦痛と狂喜がうずまく白い暗い箱の中は、いつだって満杯に押し潰されていった。 今日、私は涙を流しただろうか。 カワウソはいつだっておどけてみせた。 私の本当を嘘に変えてくれた。 ふらり、ふらり、と這いよっては私を貪る。 そこに意味などなく、私は既に居なかった。 さよなら。 さようなら。 愛した肉などなく、骨と皮のガラクタをひっさげて、また、いつものように斧を振るい落とした。
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