黒が似合う君が白に憧れる

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当たり前だとは思っていたのに、全てが偽物に変わってしまった。変わってしまっていたのだ。 いつの間にか刷り代わり、見るも無残な姿になっていた。 眩しくて、溶け落ちてしまったのかと思った。 いつまでも暗闇の中のマッチ棒は変わらず虎になるものだと思っていたら、いつしか光となって、また闇へと消えた。 私は解放されたかのように鎖が絡み合って焦げ付いてしまっている。 全てはあのネズミのせいだ。 と、言ってしまいたいものだけれど、本当はここにも虎がいただけの事だったのだ。 だから、私は眠らない。
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