2015

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日常会話? 2015 ☆願いが叶うなら 「はぁ~寒いね~」 手を擦りながら白い息を吐いて歩いているツインテールの女の子 どうやら友達と待ち合わせで初詣に出掛けるようである。 「今年は瑠璃さん先にいっちゃったからってよりによってこいつと二人きりになるとは…」 智亜美の後ろからイケメンな感じの男がしまりのない顔でついてきている。 「智亜美ちゃん、そんなに急がなくても大丈夫だよ。ほら、寒いならこっちへおいで」 そう言ってヨシオは腕を折り曲げてつきだした。 偶然に起こるハプニングとは本当に奇跡の瞬間を芸術的に演出してくれる。 ヨシオの肘は歩いていた男性の腹に綺麗に決まってしまった。 「あべしっ」 男性は突然声をだし、その場へしゃがみこむ。 すると、その横を歩いていたミニスカートの女性が騒ぎはじめた。 「いやあぁぁ~変態っ」 「何この人!いきなり堂々とこんな場所で覗きなんて信じられない」 女性は思い込みが激しいらしく、そのまま「おまわりさ~ん」と言いながら走り去って行った。 そして走り去る時に、傍にいた犬の尻尾を踏んづけていったのだ。 「ギャイン グルル」 犬は痛そうな鳴き声を一瞬あげたが、すぐに怒りに満ちた。 そして犬の目の先には… 「ちょ…違う 私じゃないよ~ぉ」 ワンワンワン 「うわぁ~ん 助けてぇ」 両手をあげて走りながら、逃げまどう智亜美の姿があった。 あっという間の出来事に呆然とするヨシオ。 「お…俺は何かとんでもないことをしたのか?」 「腕を差し出しただけだよ…な」 顔面蒼白になったヨシオが混乱したまま立ち尽くしていたら大きな声が響き渡る。 「こら、チャーミーやめなさい!」 飼い主の一声で犬はピタリと追いかけるのをやめた。 と、同時に立ち止まる智亜美。 「えぇ?私が悪いの?」 キョトンとした顔で不思議そうに振り替える。 飼い主のおじさんが、怖い顔で智亜美にちかづいてきた。 「うわぁん。なんかわかんないけどごめんなさぁい」 半分泣きそうな顔で意味不明に謝る智亜美。 「お嬢ちゃん大丈夫かい?ごめんね。怖かっただろ」 「ほら、チャミ。お嬢ちゃんに謝りなさい」 どうやら犬の名前がチャーミーらしい。 おじさんが名前を呼ぶ度に体をビクンと反応させる人間のチャミも隣にいた。 「お嬢ちゃん本当に悪かったね。この子おバカだから…悪い子じゃないんだけどねぇ」
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