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おじさんの言葉一つ一つがグサグサと突き刺さる智亜美はKO寸前でフラフラになってゆく。
騒ぎが収まったと判断したヨシオがゆっくりと智亜美に近寄った。
「ど…どうかな?暖まったかい?智亜美ちゃん」
ばつの悪そうな顔でヨシオが智亜美の顔色を伺っている。
ヨシオの声に小刻みに震えて反応を示す智亜美。
拳を握りこんだまま顔を上げて一言叫んだ。
「もぉ~ ヨシオのバカああああ」
プイッと頬を膨らませ、足早に立ち去る智亜美。
「はぁ~」「はぁ~」
智亜美とヨシオ二人揃って別の意味のため息をもらしていた。
冷たい風が二人に降り注ぐ。
新年一発目のちーーんを乾いた風が運んできた。
こうして2015年 年明けがスタートする。
~神様界~
研究所の施設で1人寂しく座っている少女。
彼女はどこか虚ろな目で感情の抜けた表情をしていた。
「はぁ、私は神様の為に作られて産まれたって先生は言ってるけど…」
「私の大切な存在が見つかるまでは一人前になれないって意味がわかんないなぁ」
「先生の言ってること難しすぎるよ」
「神様はいつも困った人を助けたり忙しくて手が回らないから私が手助けするんだよって言われた割には何もさせてくれないし」
「神様のお手伝いをすることが私の大切なことなんじゃないの?」
「私はやる気あるのに全然やらせてくれないんだもん」
「きっと私を過小評価してるんだ」
「先生に見せつけてやるんだからっ」
何か決断を下した顔になっていた。
~どすこい神社~
「やっほ~咲ちゃん、あけましておめでとう♪」
円満の笑顔で智亜美が咲を見つけて駆け寄る。
二人で手を繋ぎ、跳び跳ねてはしゃいでいた。
揺れる咲の胸、そして揺れない智亜美。
つんつん
すると後ろからつつかれたので智亜美が振り向く。
「あけましておめでとう智亜美」
後ろには琴音が立っていた。
「わ~琴音ちゃんおめでとう♪」
「今年もよろしく 智亜美」
咲と琴音に合流したのだが、1人たりないぞ?
「あれ?葵ちゃんまだ来てないの?」
智亜美が二人に問いかける。
琴音が無言のままある場所を指差した。
「ぶっ!」
その先にはおみくじと一緒に両手を伸ばしてぶら下がる葵の姿があった。
「あ…葵ちゃん正月から全開だねぇ」
「あいつさっきおみくじで凶をひいちゃって、そのショックで昇天したからおみくじと一緒に結んできた。」
琴音はさらっとした顔でそう答える。
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