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同じフロアに入っている中華料理店の入口を潜る。店のひとに、既にいるはずの相手の名前を告げると、奥の席へと案内された。 個室に通され、扉を閉められたことで、彼と二人きりになる。 「……すみません。お待たせしてしまって」 いや、と彼は言った。 相変わらず耳に残る、深みのある声だった。 「構わない。こちらこそ、急に呼び出して悪かった」 僕は首を横に振る。 「大丈夫です。特に予定もありませんでしたし、青司さんも今日は仕事ですし」 「そうか。……とりあえず座ったらどうだ?」 狩野氏に促され、僕は彼の正面の席に腰を下ろした。
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