166人が本棚に入れています
本棚に追加
狩野氏、すなわち青司さんのお父さんから連絡が入ったのは、朝食を終えてしばらく経った頃だった。
土曜の朝、何をするでもなくリビングのソファーで雪と戯れていると、携帯が鳴った。
先日送った父の日のプレゼントが届いたらしく、お礼に食事でもどうか、というお誘いだった。
プレゼントをするということについて。青司さんも嵐君も、そんなことはしなくていいと言うけれど。
公には認められていないものの、青司さんと家族の関係を築き始めたときから。
嵐君も狩野氏も、自分の中では既に家族同然の存在となっていた。
「……最近は、何かと慌ただしかったようだな」
狩野氏は、食前酒を口にして短い笑みを溢す。含みのある物言いに、僕は一瞬返す言葉を失った。
最初のコメントを投稿しよう!