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「はい、カット!!」
「お疲れ様でした」
ああ、ほんと疲れたよ。これで撮影もクランクアップだ。
それにしてもあの宇宙人役の役者は適任だよな。
妙にそれっぽい雰囲気醸し出している。
近寄りがたい感じで話たことないけど、他のみんなもそう感じていたみたいだもんな。
無口でとっつき難い。
まぁいいや、あいつともこれでお別れだ。
できることなら、もう共演したくはないな。
名前も覚えていないや。
じっと背中をみていたら、ふと振り返って目が合ってしまった。
しかたがないから、お辞儀して笑みを零した。
引き攣った笑顔になってしまったかもしれない。
おい、こっち来たぞ。
どうする、なんか話した方がいいよな。
「お疲れ様、ほんといい演技するよな。本物の宇宙人かと思ったよ」
またしても引き攣った笑顔になっているだろうな。
そう思ったら、彼が一言。
「ああ、本物の宇宙人だ。口外禁止だぞ」
と耳元で囁き立ち去って行った。
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