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ピカッゴロゴロゴロ。
ひぃっ。
やめてくれよな。俺は雷が大、大、大嫌いなんだよ。
こんな夜はさっさと寝るに限る。
けど、眠気を遠い彼方に置いて来てしまったようで目が冴えちまっている。
雷、いい加減にどこかへ行っちまえ。
ピカッゴロゴロゴロ。
耳を押させて「聞こえない、聞こえない」とかぶりを振った。
こんなんで雷をどこかへ追いやることができれば最高だが、無理な話だ。
ズドドーーーーーーーーーーーーーーーン!!!
ううぉっ!!!
心臓が飛び出るかと思った。
なんだか身体中が脈打っているじゃないか。
胸に手を置くとバクバクと激しい鼓動が手を押し返してくるようだった。
ショック死しなくてよかったよ。
本当に今のはすごかった。近くに落ちたんじゃないのか。
窓から外の様子を窺うと雨粒が窓を叩き始めていた。
空ではいまだに積乱雲が雷を落とそうと待ち構えているようだ。
嘆息を漏らして俯いたとき、ふと地上に蠢く何者かが目の端に映った気がした。
気のせいではなかった。
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