八月の微熱

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***** 「もう、いいのか?」 センセェの大きな手が私の首筋から頬へと触れる。 扁桃腺のこと? それとも、コレカラのこと? 拾われた猫みたいに抱えられて、先セぇの部屋に連れて来られるなんて思わなかった。 センセぇの部屋は鴨芽商店街を越えた先の16階建の分譲マンションの6階で、テーブルとソファとベッドがあるだけの見るからにザ.男の独り暮らしって感じ。 夢にまでみたこの瞬間が一秒でも長く続いて欲しくて、嬉しくて恥ずかしくて、涙が出ちゃうの。 「里珠…」 真っ直ぐに見つめられて甘く呼ばれたら 身体の真ん中がグズグズに蕩けちゃう。 熱い右手親指が唇をなぞるから、力を抜いて躊躇せずに口の中に入ってくる爪に歯を立てた。 「いいんだな…」 3人掛けのソファの吸い付く様な肌触りが只者じゃないぞってアピールしてる。
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