八月の微熱

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何だかんだ理由をつけてセンセぇに会いに行く私が1週間もセンセぇの顔を見ていない。 センセぇはそのことに気づいているのか… ハードルの高い初恋に弱気になる私を幼馴染たちはいつも励ましてくれる。 だけど、今回は違っていた。 「もうやめなよ。辛いだけの恋なんて無理して続ける意味ないよ。相手はもうオジィだし」 「そうだ!リズのためにイケメン集めてあげようか?行ったことないでしょ、合コン。……楽しいよぉ」 向かいに座る康代と志那のセリフが今欲しい言葉じゃなくて、頬を膨らませずにはいられない。 隣に座る章司は黙ってアイスコーヒーを啜る。 確かにセンセぇはもう若くない。 バツも付いていないのに未だに独身だし。 「捕まってからじゃ遅いのよ?逃げられないように洗脳されちゃう」 と、優等生康代が言う。 あの歳まで独身だというのは、女に相手にされない何かがあるという持論らしい。 そんな、どっかの噂好きのおばさんが言ってるようなことを真剣に忠告してくる。 「先生にしたら俺らはずーっとガキのまんまなんだよ。リズの気持ちは先生には伝わってないんだよ」 章司の追い打ちに一層居心地が悪くなって、逃げるようにして空のグラスを片手にドリンクバーへと席を離れた。
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