八月の微熱

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ぽたり、ぽたり。 後れ毛から雫が落ちる。 シャツの襟からも 袖からも、裾からも。 ぽたり、ぽたり。 玄関先にアタシのシミができた。 タオルで幾ら擦っても びっしょり濡れた服の水は吸い取れない。 力任せにゴシゴシ拭いてくれるワンピの胸元からは下着のレースが浮き上がる。 ね、せんせぇ? ずっとずっと、秘密にしていたんだけど… 着けてる下着が女の価値だって聞いたから、下着にはこだわってるの。 あたしね、センセぇ。 センセぇの為ならなんでもできる覚悟はあるの。 膝ざまついたセンセぇは何にも言わずに、濡れたワンピースを拭いてくれる。 跪いて足を拭いてくれるセンセぇの肩に手を伸ばす。 結うた髪の隙間から伝う雫が額から鼻筋を伝い、顔を上げたセンセぇの左目に落ちた。 「リズ?」 違うでしょ? 何度言っても ワザと間違えるんだから……
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