第1章

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「ねぇ、アナタいつもだんまりだけど 何か言ってくれてもいいんじゃない?」 アタシはカレを見下ろす カレはアタシを見上げる そんな位置関係 でもカレはいつも正確なの 事実だけを伝えてくる でもね、アタシこれでも努力してるのよ? 極力、友達や同僚のお誘いには乗らないように してるし、食事だって自炊してる そして何より、毎日アナタに会いに来てるじゃない なのにどうして何も言ってくれないの? 『重い』 「へ?」 アタシは一瞬、耳を疑った でもカレは鼻から抜けるような溜め息をもらしながら 『だから、重いって 身長160㎝のアンタが体重63㎏って どう考えても重いでしょ、それに体脂肪率 もうすぐ30%いっちゃうよ、もうすぐ 肥満だよ肥満!』 アタシは唖然として何も言い返せなかった 思考停止中のなか、必至に現実に戻ろうと していたアタシは微かに後悔していた 今月初め、職場の男性グループに誘われて ゛女の子はタダだから゛ に、ついうっかり乗ってしまって 焼き肉パーティーに参加してしまい 62㎏まで落としていた体重が一気に65㎏まで 復活してしまっていた それでも努力の介あって、63㎏台まで落としたものの 『それって、リバウンドって言うんだぜ』 カレにそう言われて絶句してしまった 真実のみを伝える 恐るべしタニタの体脂肪率体重計 確かに、正確です 「てか、乙女心にキズつけること言わないでよ!」 『何か言えって言ったのオマエじゃん』 恐るべし…
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