一ノ瀬つばさ:運命の出会い・パート2

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 私、こんなので亜人学園で上手くやっていけるのかな。いじめられたりしないかな。  顔にじっとりと嫌な汗が湧き出てきた。それと一緒にあの日のニュースの事も思い出してきた。  それは4人の亜人がコンサートホールで起こしたテロのこと。19人も亡くなって、怪我をした人は100人以上。……いじめっていうか、私、死ぬかもしれない。 「一ノ瀬さん? 顔色が悪いみたいだけど、大丈夫ですか?」 「だだだ大丈夫ですすっす」  声が変なことになってる。やっぱり怖い。五藤さんにあんなにかっこつけたのに、2時間後にはもうこんなに弱気になって、ああ駄目だ。身体、震えてきた。 「一ノ瀬さん」 「ひゃい!」驚く必要なんかまったくないのに。あれ、私どうしたんだろう。 「少し、会話をしましょう。あなたの知ってる事を教えてください」 「そんな」自然と言葉が漏れてくる。「私なんか何も知らない田舎っぺのイモ女子ですよ。大神さんに教える事なんかひとつも」 「亜人は、この国にどれくらいいると思いますか」 「へっ?」  社会の時間で聴いたようなことだ。全然予想してなかった事を聞かれて、良くも悪くも頭の中が真っ白になった。 「1つ1つ考えていってください。まず、この国の人口は何人?」 「えっと」社会の時間を思い出す。先生は何て言ってたっけ。  ……あずさに手紙を書いて回してたことしか思い出せない。 「ヒントです。人口は徐々に増えてきて3年前には戦後初めてのウン千万人になりました」  ――その言葉には聞き覚えがあった。確かそのあとには「ここテストにでるぞ」で、急いでチェックしたんだった。それで、肝心の答えは……
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