一ノ瀬つばさ:運命の出会い・パート2

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 ……ええい、不安ばっかり感じてても仕方ない。五藤さんみたいに、ぶつかっていかなきゃ。算数が苦手ってこと以上に、恥ずかしいことも不安なこともあるもんか。 「それなんですけど、大丈夫でしょうか?」 「なにがです?」 「この間、私、テレビにインタビューされて酷い事を言ってしまいました。そんなのが亜人の学園に行っても、うまくやっていけるんでしょうか」 「……確かに、そのことについて言及してくる者もいるかもしれません」  ぎゅっと、胸が締まる。 「けれど、亜人学園に来る者の大半が亜人を軽んじていました。『こんな姿になったのに、人間らしく生きていけるか』と叫んだ人も在籍していました。……彼は今結婚して、独立して暮らしています。皆そんなもんですよ」 「……ありがとうございます」 「それに、亜人が憎んでしまう対象は他にあるんです」  それは、と言おうとした時、窓の外に一枚の大きな看板が見えた。何か文字が書かれているみたい。  近付いてきたかと思うと車はすぐにその看板を追い越した。それには「亜」と書かれていた。  間を開けずに次の看板が見えてきて、追い越していく。看板には「人」、「学」、「校」、「は」の文字。  ついで次々と流れるように、窓の外に同じような看板が流れていく。 「立」「ち」「退」「け」「地」「域」「の」「子」「ど」「も」「の」「た」「め」「に」。  そして最後にとても大きな看板。「私達人間は平和を祈願しています!」そんな文字と眉を吊り上げた人達のイラストが描かれている。
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