1人が本棚に入れています
本棚に追加
「何してんの?」
「んー……、ゲーム……」
暎紀がベッドに寝っ転がって、携帯をいじっている俺の隣に座って、手元を覗き込んでいった。俺は携帯画面を見つめたまま、上の空で返事をした。
「せっかく泊まりに来たのに、ゲームばっかしてないで、話とかしようよ」
「えー……、なんの?」
「今日見に行った映画の話とかさ、いろいろあるじゃん」
暎紀がそんなことをぼやきながらベッドに上がり込んできたので、俺は端に寄って、それでもゲームを続けていた。すると、暎紀まで寝っ転がって、俺の顔の横に頬を近づけて、携帯の画面を見ようとする。
「邪魔だよ」
俺は素っ気なく背を向けようとした。
「なんで? 見てたらいやなの?」
「んー……、なんとなく……」
暎紀のつけたコロンの香りがすぐそばから香ってきて、落ち着かなくなる。ゲームに集中できない。
「なんのゲームしてんの?」
「オセロ……」
「オセロなら、俺とできるじゃん。携帯でやんなくても、持ってるだろー?」
「別に、携帯で遊んでもいいじゃないか」
俺は面倒くさくなって、ちょっとつっけんどんに答えた。
「俺と遊ぼうよ」
暎紀が文句を言いながら、俺のシャツのボタンを外し始めた。
「ちょっ……!?」
俺は驚いて、携帯から視線を外して、暎紀をみた。
いたずらっぽく暎紀が笑い、舌を出す。
「遊ぶなら、いいだろ?」
「今日は寝るだけだって約束したじゃないか……」
「だから、寝る前に、ちょっとだけ」
「じゃあ、ゲームしたくなくなるような気分にしてくれよ……」
俺は携帯に視線を戻して、小さくいった。
最初のコメントを投稿しよう!