第1章

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 あははは。面白いこと聞くね、君。  じゃあ、聞くけど、君の年齢っていくつなの? え? この前四十になったばかり?  君だって、四十ってことじゃないか。僕は四十五。おじさんだよね。最近は腹回りも気になりだして、結構健康とか気になる年頃だよね。  君だってそのうちそうなるって。  ええ? そんな風に見えない? はは。ありがとう。そう言われると、なんだか若返った気分になるけど、四捨五入したら五十だよ。それに、そういう言葉は女性に言うもんでしょ。  まぁ、今日は激励会というか、新人の親睦会なわけだけど。どんどん酒を勧められて困るよね。コレだからこういうときの管理職は困るんだ。勧められたら断れないじゃないか。  って、君まで勧めることないよ。これ以上飲んだら、歩けなくなるから。  そういや、君は新人の女性のところに行かなくて良いの? もう四十なんだし、課長候補の話もあるだろうし、結婚して身を固めておいた方が、将来、有利だよ?  え? 結婚する気が無いって? なに、結婚しないでそのままって言う、今時の事実婚って?  違うの? じゃあ、何だろ。草食系とか? そうでもない? どっちかというと肉食? ええ? そうは見えないなぁ。まぁたしかにスポーツしてた感じには見えるし、わたしよりも若く見えるよな。  ほら、また酒を勧めて。飲めないよ。もう、ほんと。  眠くなってきた……。このまま寝ちゃうわけには、ふああ、いかないじゃないか。  あれ? みんな三次会に行くらしいよ? しょうがないな、つきあうか。終電はもう過ぎたし。  え? 家近くなんだ。そうなの。便利だね。ええ? 泊めてくれるのか? ああ、助かるよ。じゃあ、お言葉に甘えて、遠慮なく飲みますかね。  意識がなくなっても君が連れて帰ってくれるからね。安心だ。あははは。こんなに飲むのは学生以来かな。結構笑い上戸なんだ。  だいぶん頭が回らなくなってきたな……。ん? なに? ちょっとちょっと、みんなからはぐれるよ。みんなあっち行ってるけど……。なに、どうしたんだ?
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