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少し故郷の話を*゜
「ね、はるちゃんおねがい!」
月明かりに照らされた、少し暗い公園の真ん中、そこには小さな影が2つ。
懇願するように僕の上に馬乗りになった女の子が潤んだ瞳で僕を見下ろす。
「や、やだよぉ...だってあれ痛いんだもん」
僕は必死に女の子の肩を押し返し拒否する、しかし
「はるちゃ...私、死んじゃうよぉ」
潤んでいた瞳から涙がこぼれ落ちると女の子は僕の上でわんわん泣き出した。
僕は昔から涙には弱い
「わ、わかったよぉ」
僕は胸元のボタンを開け横を向く。
そして、痛みに耐えられるようにぎゅっと目をつぶった。
「いいの!?ありがとう!」
女の子の顔が近づいてきて、吐息が僕の首筋にかかる。
あと5cm、3cm、2cm...
1cm。
「んっ...!」
かぷっという音と共に首筋に痛みがはしり、少し首筋から血が滴りおちる。
地面には少しの血溜まりができた。
女の子は首筋に刺した牙で器用に僕の血を吸っていく。
「ふぅ...ありがとう、はるちゃん!」
血を吸って真っ赤に染まった瞳
柔らかそうな唇からはみ出た小さな牙
あの子には僕の血が流れている
幼なじみはヴァンパイアだった。
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