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それでもおいらの願いは届かなかった。
次の日から兄妹達を引き取りたいと多くの人間達がやってきた。
他の兄妹達に次々と引き取り手がつき、ついに一人になるまで、おいらは無様にも駄々をこね続けた。
おいら一人くらいなら、由美ちゃんも飼ってくれるかもしれない。今までみたいに可愛がってくれるかもしれない。
それだけを希望に、おいら達を引きとりたいとやってくる人達からおいらは必死に抵抗し、隠れ、時には噛みついた。
そうすれば皆諦めた様子で他の兄妹達に目を向ける。これでいい。どれだけ惨めでも、すがってすがりついて、由美ちゃんの傍にいるんだ。
それだけがおいらの心の支えだった。
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