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来たことのない散歩コース。
いつもよりずっと遠くまで来たような気がする。帰り道なんて分からなかった。
「ごめん、―――」
名前を呼ばれて、茶色の容器の中に入れられた。
そこでなんとなくここに来るまでに由美ちゃんが涙を流していたのはおいらのせいだったのだと悟る。それでもおいらは無力で、どうする事も出来ず、ただ茶色い壁に囲まれたこの場所で由美ちゃんを見上げる事しか出来なかった。
「ごめんね」
最後に一言そう言って、おいらはそれきり由美ちゃんとは会っていない。
せめて、最期は笑顔を見たかった。笑わせてあげたかった。
それすら出来ない無力なおいら。捨てられて当然だったのかもしれない・・・。
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