90人が本棚に入れています
本棚に追加
(子供扱いしやがって・・・!)
ぷうっと頬を膨らませて、ふいっと顔をそむければまた笑われる。
どんだけ笑ってくるんだと文句の一つや二つ言いたくなるってものだ。
けれど、その後の何気ない一言がおいらにどれだけの生きる希望を与えたか、どれだけ嬉しかったか、きっとご主人は知らないだろう。
「今日からここがお前の居場所だよ」
その時のおいらはこちら側へとつなぎとめる「何か」が欲しかったのだと思う。例えそれが気まぐれに発せられた人間の一言でも。
もう二度と、人間なんか信じないそう思った。
少し優しくされたくらいで懐くほど、おいらはもうガキじゃない。単純じゃない。馬鹿じゃない。
そう思うのに、涙が止まらなかった。
暗闇の中で僅かに見えた希望の光。おいらを呼ぶ声。
少しだけ、少しくらいならその光にすがってもいいんじゃないか。その声を信じてもいいんじゃないか。そう思った。
最初のコメントを投稿しよう!