第1章

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朴さんが韓国に帰り、 私の手首の傷が随分よくなった頃、 ケイタは、私との沖縄旅行のプランを勝手に決めていた。 「石垣島ツアー一週間の旅、 一人¥69,250。これに決めたぞ」 傷はよくなったのに、 声はまだ、出ない。 こんな私と旅行とかして楽しいのかな? 山本ケイタはそんなことはお構いなしに、 「申し込んでおいた。二人とも無職だから平日でも問題ないだろう?」 とっくに二人分の料金を支払っていた。 「金? 前も言ったじゃん? うち、親が金持ってっから。 葵は気にするな」 気にするし。 私はそこまで無神経じゃない。 「わかってるよ、無神経な奴が、手首切ったり………あ、いや、 とりあえず今はお前から金取ったら、韓国から天罰下るかもしれないからょ。 そんなに悪いと思うなら体で払え」 どこまでも無神経なのは、 こいつだ。 「あー!うそうそ嘘!わかってるって! 俺はお前には手出さないよ! 好みじゃねぇから!!」 どこまでも失礼なニートの魚馬鹿と、 とうとう、本日沖縄に発つことになった。
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