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二人が泊まるコテージ風のホテルは、
赤瓦の外観もさることながら、
部屋もどこかアジアンテイストで、
同じ日本にいるという感じがしない。
「ギリギリ、サンセットBBQあるぞ」
沖縄は年中暖かいのかと思ったけど
ちゃんと寒い時は寒いらしい。
それでも、
この秋深まる時に外でBBQ出来るのだから、
やはり沖縄は楽しみが長く楽しめるところだ。
「肉、肉」
声は出ないけど、口パクで連呼すると、
「なんか、¨すき¨って囁かれてるみたいだ」
と、
能天気なケイタがわざとらしくモジモジするので、
後ろから膝蹴りをしてやる。
「ぉ前、口きけなくなってからキャラ変わったんじゃねぇの?」
そんなことない。
ケイタには、いつもこうしてやりたかった。
口より手が出る(足が出る)とはこの事だ。
「石垣産牛もいいけど、
魚も食べたいよなぁ」
魚すきなのに、魚食べたいのか。
少し肌寒いくらいの屋外レストラン肉を焼きながら、
ケイタは魚を欲しがった。
「沖縄に来たら、アレ食べなきゃ」
「ゴーヤ?」
口パクの問いに、ケイタは、
「ゴーヤが海に泳いでるか?
沖縄の海の新鮮な魚つったらあれだろ?」
と、もったいないぶって、それが何かを言わない。
魚はあんまり得意ではない。
私は肉でいい。
「おい、葵、肉ばっかり食うな!野菜も海老も食えよ。
ほら、
これな。俺が食いたいの」
頬張る私に、ケイタが見せたのは、
とても美味しそうには見えない、
青い魚だった。
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