15879人が本棚に入れています
本棚に追加
/477ページ
弱いことはやっぱり間違っていた。
私は強くなった。
でも、あいつは変わらない。
忘れていた感情が沸き上がり、嫌悪が蘇る。
ねえ、江山。
あんたも少しだけ弱さの罪を知ればいい。
そうすればきっと、私みたいに気がつけるから。
この世界で生きる為の醜さを。
この世界の理不尽を。
地獄に落ちなきゃ、人間は変われないんだ。
「これで、全部終わり」
始まるかどうかは江山、あんた次第。
ここまで来てくれる?
一緒に狂えたら、きっと楽しい。
その時は、また二人で…………………。
……………………………
江山は変わらなかった。
弱いままだった。
私の胸の奥は黒いどろどろで満たされていった。
それはそれで気持ちよかった。
でも、家族に知られたくない感覚だった。
ある日、なんとなく屋上前の踊り場に向かった。
本当に気まぐれだった。
そこに江山はいなくて代わりに一人の女子生徒が蹲っていた。
足音に気づき、その子が顔を上げる。
前髪が長くて邪魔そうではあったけれど、泣いていることだけはわかった。
最初のコメントを投稿しよう!