第30章 桐島彩 終

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弱いことはやっぱり間違っていた。 私は強くなった。 でも、あいつは変わらない。 忘れていた感情が沸き上がり、嫌悪が蘇る。 ねえ、江山。 あんたも少しだけ弱さの罪を知ればいい。 そうすればきっと、私みたいに気がつけるから。 この世界で生きる為の醜さを。 この世界の理不尽を。 地獄に落ちなきゃ、人間は変われないんだ。 「これで、全部終わり」 始まるかどうかは江山、あんた次第。 ここまで来てくれる? 一緒に狂えたら、きっと楽しい。 その時は、また二人で…………………。 …………………………… 江山は変わらなかった。 弱いままだった。 私の胸の奥は黒いどろどろで満たされていった。 それはそれで気持ちよかった。 でも、家族に知られたくない感覚だった。 ある日、なんとなく屋上前の踊り場に向かった。 本当に気まぐれだった。 そこに江山はいなくて代わりに一人の女子生徒が蹲っていた。 足音に気づき、その子が顔を上げる。 前髪が長くて邪魔そうではあったけれど、泣いていることだけはわかった。
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