第28章 江山藍都 8

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「帰る場所はありますか?」 三崎さんは答えた。 どこにもないよ、と。 「アイトくんにはあるのかな? 帰る場所」 三崎さんは軽く目を細める。 僕が口を開く前に、彼女の細い指先が僕の唇に触れた。 「答えは聞かないでおくね」 ああ、きっと、この人は答えなど聞かなくてもわかっているんだと思った。 視界に映る全てが霧散して、夢から現実へと意識が移行する。 時計を見ると、朝の四時を過ぎたところだった。 不思議と、寝覚めは悪くない。 ここ数日はずっとそうだ。 夜明けに目が覚めて、日が街に満ちるまで、色々なことを考えて時間を潰す。 ふと、さっきまで見ていた夢のことを思い出す。夢と言っても、つい昨日の話。 帰る場所。 「帰る場所」 家はある。でも、そうじゃない。 帰る場所は、自分の居場所。 僕の居場所。
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