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それでも……私はまたその泥沼に足を踏み入れる。
「最初は確かに蓮都が言う通りだったよ。だけど今は違う」
心にもない言葉を並べる私は、きっと蓮都から見たらどこまでも惨めに見えているだろう。
───哀れな女。
そう言いたそうな蓮都の瞳は、私を深く見つめながらとどめの言葉を口にする。
「たとえ今は違ったとしても、俺はもう小雪との人生なんて考えられない。
それに本来の小雪は、自分を愛してもくれない男を何年も思い続けているような女じゃないだろ?」
…やっぱり蓮都に私の気持ちなんてわかるわけない。
この男も…お兄ちゃんやお父さんと同じだ。
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