Act.8

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ゆっくりと開かれたドア。 そして振り返った龍都さんが私の手を取り、中へと導く。 私の背中で小さく音を立て扉が閉まった瞬間、今にも泣き出しそうになった。 そんな私を見下ろしていた龍都さんが両手で私の頬を包み込む。 真っ直ぐに向き合わされた瞳。 頬に触れた手があまりに温かくて、夕陽に包まれた廊下の風景を思い出した。 涙でぼやけてしまった龍都さんの顔が、やっぱり紺野君に見えて胸が苦しくなる。 「ねぇ、小雪ちゃん」 「…………」 「なんでこんなことするの?」 問いかけられた言葉に私は何も答えられないまま、瞼を伏せた。
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