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零れ落ちてしまった涙もそのままに訴えた私を龍都さんが悲しそうに見下ろす。
「お金なんていらない。
ただ……お願いだから私から消してよ!」
あの日、お兄ちゃんの胸を何度も殴りつけた時と同じように、握りしめた拳を龍都さんの胸に打ち付けた。
それを黙って受け止めてくれていた龍都さんが、両手で私の腕を掴んで止める。
「わかったから…もう泣かないで」
そう言葉を落とした龍都さんは私を抱き寄せ、後頭部を手で押さえる。
そして私の激情を抑えつけるかのように彼はそのまま唇を塞いだ。
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