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「ねぇ蓮都…どうしたの?」
その問いかけでハッとしたように蓮都が私を見た。
「ああごめん。行こう」
そう言って歩み出した彼の腕を咄嗟に捕まえてしがみつく。
こんなことをしてまでこの駒を失くすまいとする自分の薄汚さに失笑しながら。
「メシは?」
「まだ食べてない」
「だよな。とりあえずメシ食いに行こう」
「うん…あ、ちょっと待って」
タクシー乗り場に向かおうとした彼を、引き留める。
このチャンスを最大限に活用するために私はバッグの中の携帯を取り出した。
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