339人が本棚に入れています
本棚に追加
「友達に着いた事だけ連絡したいの」
「…ああ」
きっと蓮都は私と一緒にいるところをこれ以上誰かに見られたくないのだろう。
けれど、私はそういう訳にはいかないのだ。
頭の中に繰り返し響くあの日の父の言葉。
『堕ろせ』
あんなにも残酷な言葉を彼の口からだけは聞きたくない。
普段はメールでしか連絡を取らない私からの着信にきっと紺野君も戸惑っていたのだろう。
長いコール音の後、ようやくその通話が繋がる。
「あ、紺野君?今、羽田に着いたよ」
「…は?また来たの?」
最初のコメントを投稿しよう!