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蓮都と向かったのは、神楽坂のイタリアンレストラン。
もういい時間だというのに人が溢れる通りをガラス越しに見つめながら食事を済ませると、早速蓮都は本題に切り込んで来る。
「小雪、分かってると思うけど。勇太郎から横取りした株の件なんだけど…」
蓮都が何を言いたいのかなんて手に取るようにわかる。
けれど私は譲れなかった。
「渡さないよ。蓮都も株も」
「…邪魔すんなよ」
「邪魔してるつもりはないよ。
自分の大切な人を失いたくないだけ。それのどこがいけないの?」
言い切った私を見つめる蓮都の瞳はどこまでも冷たかった。
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