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駅に向かって歩さんに手を引かれながらポロポロと涙が溢れ出し頬を伝う。
そんな私の様子に気づいた歩さんはポケットからハンカチを取り出すと、黙って涙を拭いてくれた。
そして駅の切符売り場までたどり着くと、そのハンカチをもう片方の私の手に握らせやんわりと微笑んだ。
「ちゃんと自分で切符買える?」
「……大丈夫です。子供じゃないですから」
「そう、じゃあ気を付けて帰りな」
ポンと私の頭を撫でた歩さんは背中を向ける。
「あのっ!ハンカチ…」
私の声に振り返った歩さんは柔らかく笑うと軽く手を振ってその場から去って行った。
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