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Act.14 #2
だけどその言葉で堪えていたものが喉の奥からこみ上げて、私は嗚咽を漏らしてしまった。
そんな私の姿に蓮都は黙って私の頭を撫でてくれる。
その手が、あまりに優しくてとめどなく涙がこぼれた。
さっきまで私の心の中は過去の苦しみにかき乱されていて、失ったものたちへの思いに占められていたのに。
今、私の前で柔らかな微笑みを浮かべるこの人がとても素敵に見えた。
蓮都は……龍都さんじゃない。
そう思い直せたのは再び歪んで行きそうだった私の心を、寸前の所で彼の差し出してくれた手が止めてくれたからだ。
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