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Act.16 #2
そう考えたら、紺野君と私がこうしてまた巡り会えたのは珍しい事でも何でもないのかもしれない。
と、その時。雑踏の中から彼の声が私を呼ぶ。
「小雪」
「はいっ!」
まさか名前で呼ばれると思っていなかっただけに、咄嗟に大きな声で返事をしてしまった。
「ふはっ!はいって何だよその返事」
「あ……ごめんなさい。
まさか名前で呼ばれると思ってなかったから……」
「別に名前くらい呼んだっていーだろ」
微かに口を尖らせて言った紺野君は、高校生の頃の彼のままで。
それがまた……切なさを増殖させるのに、紺野君はどこまでも残酷だ。
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