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Act.17 #2
小走りでリビングに戻り、バッグの中から真新しい車の鍵を取り出して再び玄関に戻る。
おずおずと鍵を差し出した私の手からそれを奪った紺野君は、一歩後ろに下がってから真っ直ぐに私を見つめた。
頭の上から足先までを、紺野君の瞳がなぞって行く感覚にまた胸が弾ける。
指一本も触れられていないのに、まるで彼に抱かれている時と同じような感覚に蝕まれて、身体が熱を帯びた。
彼を愛する気持ちがこみ上げると、いつしかこの身体までが彼を求めていることに今更気づく。
……そんな自分が無性に情けない。
そう思った瞬間、彼が言葉を放つ。
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