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その翌朝。
俺の部屋に来た小雪は開いたドアの前で戸惑いの表情を見せる。
それに無性に苛立ちを感じながら俺は吐き捨てるように言った。
「なんだ……もっと蓮都と一緒にいるのかと思ってたのに」
「蓮都は……今日も仕事だから」
「へぇ……土曜日なのに?」
「…………」
押し黙った小雪の腕を掴んで自分の家の玄関に引き込んだ。
壁に彼女の両手を押し付け逃げ場を失くす。
いつもここで彼女と唇を重ねることで、自分の本音を押し込めていた。
そして何よりも。
彼女からこの関係を終わりにしたいという言葉が言えないように、力づくで塞ぎこんで来た。
だけど……。
それも、もう終わる。
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