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Act.20 Side Ryohei #2
───それから何日かしたある日、俺は携帯を見つめてため息をついていた。
どうしても消せないそのメモリーを開いて失笑する。
今の俺に出来ること。
それはいったい何なのかをこの何日かずっと考え直していた。
けれど、どれだけ考えてみても結局その結論を弾き出す。
小雪の想いを叶えてやるため。
そして兄貴の大切なものを守るため。
俺は覚悟を決めてその番号をタップした。
「……はい」
「俺」
「……うん」
戸惑い気味の小雪の声は、6年前から何も変わっていないのに。
明らかに感じる俺と小雪の温度差にまた泣きたくなる。
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