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それでも打ち消せない想いを必死に抑えて、俺は冷たく彼女に言葉を投げた。
「さすが道央ファンドのお嬢様だな」
「…………」
「妊娠祝いが高級車?」
「…………」
押し黙った小雪に俺は容赦なく歪んだ思いを押しつける。
あの日、夕陽に包まれた廊下で泣いている彼女を突き放した時と同じ気持ちを押し隠しながら。
「まぁちょうどいいわ。あの車、少し俺に貸してくれない?」
「えっ?」
「ちょっと車が必要な用事が出来ちゃってさ。
レンタカー借りようかと思ってたんだ。
どうせ乗る予定なんてないんだろ?」
「……まぁ……使う予定はないけど……」
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